公立中高一貫校のすすめ[中学受験・偏差値]

公立中高一貫校・中学受験・偏差値について受験教材の会社に勤める管理人がまとめたサイト。首都圏、中部、関西、近畿の公立中高一貫校の情報や偏差値を掲載
     
 






SPONSORED LINKS
OSUSUME


RECENT COMMENT
RECENT TRACKBACK
MOBILE
qrcode
無料ブログ作成サービス JUGEM
 
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

- | - | - | pookmark
公立中高一貫校で広がった進路の選択肢

公立中高一貫校で広がった進路の選択肢


 公立中学校の場合、通常は住んでいる場所で通う中学校が決められてしまいます。最近は公立の小学校・中学校でも、東京都を中心に学校選択制が導入される地域が少しずつ広がっていますが、それはまだまだ一部の地域でのことです。したがって、その中学校に通いたくない場合は、私立中学校か国立中学校を受験するしかありませんでした。
 しかし、特に地方の場合、実際には近くに私立中学校や国立中学校がない地域が少なくありません。大都市圏の場合は、私立の中学や国立中学という選択もありえますが、私立中学校の場合、学費が高く、しかも難関校に合格するには、中学受験を専門にしている進学塾に長期間通うか、中学受験の経験のある家庭教師にマンツーマンで受験勉強を見てもらう必要があり、相当な出費を覚悟しなければなりません。国立中学校の場合、学費はそれほど高くありませんが、入試の難易度は私立の難関校と変わらず、合格を勝ち取るにはやはり長期の塾通いや家庭教師が必要です。
 そうした状況の中で、公立中高一貫校に進むという選択肢が増えたことは、小学生のお子さんを持つご家庭にとっては、まさに「渡りに船」といって過言ではないでしょう。公立中高一貫校が人気になるのもうなずけます。



公立中高一貫校が立て続けに開設

 1999年度から公立中高一貫校の設置が始まりましたが、最初の数年は、私立の中高一貫校があまりない地方での設置がほとんどでした。しかもその多くは、過疎地域の高校に地元の中学生をなるべく多く進学させるための方策という意味合いが強い「連携型」。私立の中高一貫校に近いタイプの「中等教育学校」(高校からの外部募集を行わない完全中高一貫校)と「併設型」(高校入学時にも外部募集を行う中高一貫校)に限ると、2001年度までの3年間に設置されたのは、中等教育学校1校、併設型3校の計4校のみでした。
 ところが2002年度に中等教育学校1校、併設型7校が開校すると状況が変わります。翌2003年度には中等教育学校2校、併設型12校、2004年度には中等教育学校3校、併設型13校と、西日本を中心に立て続けに開設されました。2002年度から、中等教育学校と併設型の開設が増加傾向になったのです。
 特に2004年度は、京都の2校同時開校が大きな話題になりました。中学受験がもともと盛んな京都のような大都市圏で、しかも湯川秀樹、朝永振一郎のノーベル賞受賞者を輩出した伝統校の府立洛北高校と、学校の大改編によって大きな注目を集めていた市立西京高校という人気校2校が同時に公立中高一貫校になったことの影響力は極めて大きかったようです。
 それは2004年度の開校に向けて2003年5月に行われた説明会にもはっきり表れ、洛北では約5000人、西京では約6500人の保護者・児童が集まりました。実際の入試でも、洛北が定員80人に対し、受検者数820人で倍率10・25倍、西京が定員120人に対し、受検者数1375人で倍率11・46倍。ともに10倍を超える大変な狭き門となりました。
 そして、2005年度からは東京でも、都立初の中高一貫校として白鴎高校附属中学が開校することになり、初めての説明会では、1日で約3400人の参加がありました。その後に行われた説明会でも、やはり3000人以上の保護者・児童を集め、実際の入試でも、定員160名に対して志願者2113名、倍率13・21倍という大変な高倍率になりました。
 この白鴎の人気が、翌年の2006年度に開校した小石川、両国、桜修館、九段の東京の4校の人気につながったことは間違いありません。大都市でも設置が始まったことで、公立中学一貫校の注目度はぐっと高まりました。



さらに増えていく公立中高一貫校

さらに増えていく公立中高一貫校


 2006年度は、東京の公立中高一貫校の立て続けの開校で盛り上がりましたが、2007年度以降も開校ラッシュは続きます。
 2007年度は、北海道登別明日、新潟県立直江津の中等教育学校2校、青森県立三本木、福島県立会津学鳳、栃木県立宇都宮東、さいたま市立浦和、千葉市立稲毛、兵庫県立大学附属、岡山県立倉敷天城、佐賀県立香楠中学・鳥栖高校、佐賀県立武雄青陵中学・武雄高校、大分県立大分豊府、宮崎県立宮崎西、沖縄県立与勝緑が丘中学・与勝高校の併設型13校、計15校の公立中高一貫校が開校。2006年度以上の開校ラッシュになりました。
 そして2008年度には、東京で都立北多摩高校が中等教育学校に、都立武蔵高校が併設型中高一貫校に改編されるほか、千葉でトップの進学校である県立千葉高校が併設中学を設置することが大きな話題になっています。県内トップの公立高校が中高一貫校に改編する例は、2007年度開校の県立宮崎西以外にはほとんどなかっただけに大いに注目されます。
 そのほか、茨城県立並木高校が中等教育学校に、栃木県立佐野高校が併設型中高一貫校に改編されるほか、大阪市が扇町高校と此花総合高校を再編統合して、やはり併設型中高一貫校を設置します。
 2009年度には、神奈川で県立相模大野高校と県立大原高校がそれぞれ中等教育学校に改編されるほか、岩手では県立一関第一高校が、滋賀では県立虎姫高校と安曇川高校がそれぞれ併設中学を設置する方向です。市立中高一貫校設置の動きも目につき、群馬県伊勢崎市が市立伊勢崎高校を中等教育学校に改編するほか、仙台市と新潟市でも中等教育学校を設置する動きが進んでいます。
 2010年度には、東京では都立4校が中高一貫校に改編され、富士高校と大泉高校が併設型中高一貫校に、南多摩高校と三鷹高校が中等教育学校になるほか、宮城の第二女子高校(共学化)と茨城の緑岡高校が県立の併設型中高一貫校に改編される予定です。
 そのほかにも、年度未定の公立中高一貫校の設置計画はいくつかありますし、現在の時点では発表されていない地域でも、まだまだ新たな設置計画が出てくる可能性があります。したがって、新聞や教育委員会のホームページなどには常に目を光らせ、公立中高一貫校の今後の情報に注意するようにしましょう。



公立中高一貫校の3つのタイプ

公立中高一貫校の3つのタイプ


「中等教育学校」とは


 公立中高一貫校には3タイプがあります。そのうち「中等教育学校」と「併設型」が中学入学時に選抜を行う私立の中高一貫校に近いタイプになります。ここでは、この2タイプの学校を中心に、公立中高一貫校がどんな学校なのかみていきましょう。
 「中等教育学校」は、公立でも完全中高一貫教育を行えるようにするために、学校基本法を改正して新たにつくった学校形態です。高校募集を行わず、生徒全員が6年一貫の教育を受けるので、中高一貫教育を実践するのにもっとも適したタイプの学校といえます。公立初の中等教育学校である宮崎県立五ケ瀬の、全寮制を生かしたユニークな教育実践も、完全中高一貫教育が可能な中等教育学校ならではのものといっていいでしょう。
 すでに卒業生を出した中等教育学校は、今のところは五ケ瀬のみですが、設置数は年々増えています。いずれは、魅力的な中等教育学校が全国で増えていくのではないでしょうか。



「併設型」とは 


 公立中高一貫校のもうひとつのタイプである「併設型」は高校でも募集を行い、高校入学時に外部からも生徒が入学してくる点が、中等教育学校との大きな違いです。中学からの内部進学生(内進生)と高校からの入学生(外進生)が交わることで、お互いに刺激を受けるので、高校受験がなく、中だるみしやすい中高一貫のデメリットを補うことができます。
 ただし、公立であっても中高一貫校では先取りカリキュラムを実践する学校が多く、高校入学時点では、内進生と外進生で学力差が開いている可能性があります。この点は併設型の課題の一つでしょう。高校からのクラス編成をどうするかが問題になりますが、内進生と外進生を一緒のクラスにするか、別々のクラスにするかは学校によって違います。
 たとえば、東京の白鴎や両国などでは、併設型のメリットを生かすため、クラスは別々にせず、学力差がつきやすい数学や英語などの教科については、習熟度別授業を実施することで対応する方針です。公立中高一貫校の多くは、このタイプのようです。
 それに対して、京都の洛北や西京のように、。内進生と外進生ではカリキュラムが違うため、クラスを別々にして学習する方針の学校もあります。この場合、内進生は中等教育学校に近い教育を受けられると考えていいでしょう。



「連携型」とは


 公立中高一貫校のうち「連携型」については、通学区域が従来の公立中学同様で、対象となる人はごく一部に限られますが、公立中高一貫校の半数以上は「連携型」です。
 連携型は、「中等教育学校」や「併設型」と違って、中学と高校がひとつの学校ではありません。区市町村立の中学と都道府県立の高校という別々の学校が、教育課程の編成や教員・生徒間の交流などの連携を深める形で一貫教育をおこなうものです。しかも、1校の高校に対して連携するのは中学1校とは限りません。なかには中学6校が連携するケースもあります。
 連携型の多くは、過疎地域にある学校で、地元の中学生が地元の高校に多く進学することを期待して公立中高一貫校を設置しています。主に郷土学習など地域に密着した教育で連携し、地域の将来を担う人材の育成を目的としています。ただし、なかには東京のような大都市でも、連携型の公立中高一貫校を設置している自治体もあります。



受験する学校を決定する

受験する学校を決定する


 受験可能な公立中高一貫校についてひととおり調べたら、どの学校を受験するかを決めていきましょう。

 受験可能な公立中高一貫校が1校しかなければ、その学校を受験するか、公立中高一貫校の受験はやめて国立中学か私立中学を受験するか、中学受験自体をやめて、地元の公立中学に進学するかということになります。でも、受験可能な公立中高一貫校が2校以上ある場合は、通常は1校しか受験できませんので、比較して1校を選ばなければなりません。

 選ぶ際の検討事項は、だいたい次の3点になります。


 1.教育内容

 2.通学の便

 3.選抜方法


 いちばん重要なのはやはり教育内容です。公立中高一貫校の教育方針は、「リーダーの育成」など基本的な部分ではだいたい共通していますが、学校ごとに独自の教育を行っていますし、校風などもそれぞれ違いがあります。そうした違いを見極めて、わが子の性格や資質に合いそうな学校、あるいはわが子をこのように育ててほしいという親の気持ちにフィットする教育を行っている学校を選びたいものです。

 交通の便も重要な要素です。6年間通い続けるのですから、お子さんに過度な負担のかかる通学はなるべく避けたいものです。たとえ教育内容がいいと思う学校でも、通学の負担が大きすぎると感じるなら、公立中高一貫校への受験はやめておくべきです。

 また、受験可能な公立中高一貫校が2校以上あるものの、通学条件にかなり差がある場合は、教育内容にどうしても納得がいかないというのでないかぎり、無理なく通学できる学校を選んだほうが無難です。

 教育内容も交通の便も大きな差を感じない場合、選抜方法で選ぶことも考えましょう。適性検査は共通問題の県が少なくありませんが、東京の場合、都立と千代田区立では選抜方法が違いますし、同じ都立でも学校ごとに問題を作成するので、出題傾向が違います。府立2校、市立1校の京都も、やはり学校ごとに問題が違います。

 適性検査の問題は、「こんな問題に解答できる生徒に入学してほしい」という学校側からのメッセージでもあり、問題との相性がいい学校は合格しやすいだけでなく、実際に入学してからも学校との相性がいい場合が多いものです。公立中高一貫校選びは、問題との相性も重視したほうがいいでしょう。


 



合否判定について

公立中高一貫校 合否判定について


 合格者の選考は、小学校で作成する調査書(報告書)と、検査日に行われる適性検査や作文、面接などの結果を総合的に検討し、入学への適性を判断します。

 調査書はほとんどの学校が「各教科の学習の記録」を直接的な判定資料とし、「特別活動の記録」や「行動の記録」などその他の記録は、主に面接での資料として活用します。また、出願時に志願理由書(志願者カード)を提出させる学校もかなりありますが、これも主に面接の資料として活用され、通常は点数化はされませんが、東京の千代田区立九段中学のように点数化して合否の判定に用いる学校も一部にはあります。

 合否判定方法については、多くの学校が非公表ですが、東京都立の学校は合否の判定方法を細かく公表しています。

 例えば両国高附の例で、報告書については、「各教科の学習の記録の3段階の評定を、学校独自の規準で点数化したものを報告書点とします。他県では調査書をどのように点数化をするかは不明ですが、評定のみを点数化する学校が多いと思われます。

 適性検査については、?・?の得点をそれぞれ決められた比率で換算し合計した点数を適性検査の得点とします。そして、報告書点と適性検査の得点を合計した総合成績の高い順に合格者を決定します。

 東京都立の学校はどの学校も同様に、報告書点と適性検査(桜修館は作文も含む)の得点を合計した総合成績で合否を判定しますが、配点の比率は学校ごとに違います。

 他県でも調査書○点、適性検査○点、作文○点というように、それぞれの満点を定め、合計点の高い受験生から合格としている学校が多いようです。面接についても、各学校が「志望動機」「学習意欲」などといった観点を設けて、点数化や段階評価をしていると考えられます。

 また「抽選」が行われるケースもあります。「受験競争の低年齢化」や「1点を争う入試」を避けるため、一定以上の成績の受験生をすべて入学候補者として選抜し、候補者数が・定員を上回る場合に抽選を行う学校もあります。

 たとえば京都府立洛北高附の2007年度の選抜では、定員80名に対して入学候補者95名を選抜。そのうち成績上位47名を無抽選で合格とし、残り48名の入学候補者には抽選を行い、さらに33名を合格としました。



調査書について

公立中高一貫校 調査書について


 調査書(報告書)は小学校で作成され、公立中高一貫校の選抜においては、合否判定の重要な資料になります。記入される内容は各県ともほぼ同じ内容で、たいていは5・6年の2年間の記録が記載されます(ただし、書式は各県で異なり、広島県のように5・6年を総合的に評価して記載する県もあります)。

 主な記入欄は「各教科の学習の記録」「総合的な学習の時間の記録」「特別活動の記録」「行動の記録」「出欠の記録」「総合所見」です。各欄とも指導要録の記載方法に従って記載されます。

 各教科の学習の記録」には、「観点別学習状況」と「評定」の2つの記入欄があります。

 観点別学習状況の欄は、各教科とも観点別にそれぞれA(+分満足できると判断されるもの)、B(おおむね満足できると判断されるもの)、C(努力を要すると判断されるもの)の3段階の評価が記載されます。

 評定は、教科ごとに、


  3 ⇒ 【十分満足できると判断されるもの】

  2 ⇒ 【おおむね満足できると判断されるもの】

  1 ⇒ 【努力を要すると判断されるもの】


 以上の3段階で記載されます。

 両方とも5年の記録は指導要録から転記、6年の記録は指導要録に準じて記載されます。

 「総合的な学習の時間の記録」の記入欄は、学習活動、観点、評価の3つを記載する県が一般的ですが、評価のみの県や、記載欄がない県もあります。また、東京都のように6年のみではなく、5・6年の記録を記載する県も少なくありません。各欄は、各小学校が定めた評価の観点を踏まえて文章で記載します。



面接について

公立中高一貫校 面接について


 面接は、東京以外のすべての公立中高一貫校で実施します(東京の学校は特別枠のみ面接を実施)。形式は『個人面接』と『集団面接』がありますが、どちらの方法で実施するかは学校によってまちまちです。なかには両方の形式で一人2回行う学校もあります。対象は通常受験生のみで、私立のように保護者同伴の面接を行う学校はほとんどありません。

 面接時間は、個人面接が5分程度、集団面接は如了30分という学校が多いようです。ただし、個人面接を10分ぐらいにしたり、逆に集団面接を10分程度と簡単に行う学校もあります。作文や適性検査の結果に比重を置く学校、面接を重視する学校など、面接をどのように位置づけているかで、時間や内容に差が出るようです。面接では、志望した動機や学校生活にどんなことを期待しているか、将来の希望などについて質問されます。特に、進学に際してどんな目標・目的をもっているか、公立中高一貫校での学校生活への意欲はどうかなどが重視されるようです。

 また、志願者がどんな個性の人物かを知るため、長所や好きな教科、将来の夢などもよく聞かれます。調査書の総合的な学習の時間や特別活動、学校生活の記録などを参考に、どんなことをがんばったかなどの質問が出ることもあります。このほか、受験する中学の教育内容が+分理解できているか、基本的な生活習慣が身についているかなどをみる公立中高一貫校もあります。

 グループ面接では、受験生同士で討論や話し合いをさせる学校はあまりありません。質問内容は個人面接と同様に、志望理由や好きな教科、自分の長所、将来の夢などが中心です。ただし、京都市立西京高附のグループ面接のように、コミュニケーション能力をみる意味で1分程度の長さの話を聞き取り、聞き取った内容に対する受験生の考えや意見を求める例もあります。

 また入学への目的意識や自分のことをまとめておくことは大切です。公立中高一貫校では、自校の教育の特色を理解し、「6年間ここで学習したい!」という意欲のある生徒を求めているので、入学後にどんな勉強をしたいかなど、目的意識をはっきりもつことが大事です。それには、受験校の特色や教育内容をよく理解することも必要になります。また、小学校生活でがんばったこと、好きな教科、長所、特技など自分自身のことについても考えをまとめておきましょう。

 私立の中学入試では、面接が合否を大きく左右することはあまりありませんが、公立中高一貫校では、面接はある程度重視されると考えたほうがいいでしょう。



適性検査(入試問題)は、教科横断的な問題が出題

適性検査(入試問題)は、教科横断的な問題が出題


 公立中高一貫校の適性検査の問題は各県の教育委員会が作成し、全県共通というのが普通です。ただし、東京や京都のように学校ごとに独自問題を出題したり、和歌山のように問題の一部を県教委が用意した問題の中から学校ごとに選択して出題したりする場合もあります。

 内容は、私立中学入試のように小学校の各教科の内容を直接問うものではありません。身近な題材を用いた課題を自分で考えながら、文章などで表現する問題が中心で、総合的な学力・問題解決能力をみることに主眼が置かれています。これは受験に際して準備のための特別な勉強が行われ、受験勉強の低年齢化を招くことがないよう配慮しているためです。

 ですが、ここ1、2年は出題傾向がやや変化してきています。出題される問題が私立中学入試で出されるタイプが増えてきています。もちろん、思考力や表現力など総合的な学力を試すという基本方針は変わっていませんが、私立用の中学受験の勉強が役に立つようになってきたといえます。

 公立中高一貫校の出題形式は県や学校によってさまざまで、検査?・検査?というように異なるタイプの問題を分けて出題する学校が少なくありません。検査?は必修で、検査?は複数の問題の中から選択する県や学校もあります。検査時間は、それぞれ45〜60分で行われ、作文が適性検査と別に行われる場合、だいたい制限時間50〜60分、制限字数400〜800字で実施されます。

 このほか、聞き取った内容について自分の考えをまとめ、文章で表現するヒアリング形式の問題も出ています。

 また公立中高一貫校によっては、抽選を行うところもあります。この場合、募集定員に関係なく、入学への適性が認められた人を「入学予定候補者」として選考して、この中から抽選に当選すると、志望した公立中高一貫校の「入学予定者(合格者)」として発表されます。



学費について

公立中高一貫校の学費について


 公立中高一貫校が私立と比べて魅力的な点といえば、何と言っても学費の安さでしょう。

 中学の3年間は、他の公立中学校と同じく入学料、授業料はいりません。それに比べて、私立は初年度納付金(中学1年時に学校に納めるお金こと、入学金、授業料、施設費、教育拡充費、冷暖房費などが含まれる)だけで、平均70万円以上の、学校によっては100万円以上もかかります。高校では、入学料と授業料を納めますが、入学料は5千円程度、授業料は年間11万円台です。私立の初年度納付金は平均70万円ですから、相当な違いといえます。

 ただし、制服代、体操着代、教材費、修学旅行などの積立金などは公立中高一貫校でも必要で、そうした費用は年間10〜15万円程度です。ふつうの公立中学より少しお金がかかりますが、私立に進学するのに比べるとかなり安めといえます。

 公立中高一貫校と私立中高一貫校のメリット、デメリットを比較してみると、私立の大きなデメリットは学費面だけという捕らえ方もできます。それ以外の面では、確かな中高一貫教育のノウハウを持っている私立が、現時点では一歩リードしているといわざるをえません。しかし、学費面の優位性は大きく、当分は公立中高―貫校の人気が続き、潜在能力のある生徒が多く集まってくるでしょう。そうした生徒を仲ばす教育を実践できれば、私立との差は縮まっていき、逆に公立中高一貫校のほうが私立を凌駕する面も多くなるとさえいえると思います。